スマホの自動回転って誰得? 人類がハマった便利のワナ
- 寺川真嗣
- 7月6日
- 読了時間: 3分

スマホの自動回転機能、理屈ではめっちゃ便利なはずだった。縦に持てば縦、横に持てば横。誰もが「ああ、未来だ…」って思ったはず。でも現実は、ゴロゴロしながらスマホいじれば勝手に画面が横向き、寝っ転がってスマホ触れば逆さ表示。ソファに寝そべった瞬間、スマホはまるで「おっと、その角度は横画面だな!」って回転してくれる。いやいや。。
自動回転の夢は、初代iPhone(2007年)で一気に広まった。でも実はその前、2002年のフィンランド企業MyOrigoの試作スマホが元祖。加速度センサーで人間の持ち方に合わせてベストな向きにする…という野心的なアイデア。でも、残念ながら人間は想定外の生き物だった。スマホを正しい角度で持つどころか、だらけきった姿勢で触るのがデフォルト。斜め、横倒し、ほぼ逆さ…スマホはそんな姿勢にも律儀に反応して、勝手に回転を繰り返す。余計なお世話機能の代表格になってしまった。
今では、自動回転をオンにしたまま使ってる人はほとんどいない。みんな一度は勝手にクルクル回る画面にイラつき、そしてロックをかけた。自動回転は理論上は便利の象徴だったはずが、現実ではオフにされるだけの機能になってしまった訳です。
しかも問題はその回転挙動の“ガクッ”感。人間の動きは連続的なのに、スマホはある角度を超えると急に画面を切り替える。このギャップが不快感の元。もしも連続的に角度補正して、画面がどんな角度でも自然に見える仕組みがあれば、例えば船の上でも、ジェットコースターの上でも、常に水平の画面が実現したはず。だけどそんな発想生まれなかった。なぜって?人類は、直線の効率に気がついて、すべてを四角くく、文明を作り続けてきたから。
この「便利だから選ばれたけど、今や足かせになってるもの」はスマホの自動回転だけじゃない。たとえばキーボードのQWERTY配列。これは元々はタイプライターの金属アームが詰まらないように、わざとよく使う文字を遠ざけて配置した。それを21世紀になってもみんな当然のように使ってる。もっと早く打てる配列もあるのに「慣れてるから」で変えない。いや、そんなシケインみたいな配列をドヤ顔で乗りこなしてる。
そして時計。人類はなぜか12時間制や60進数の呪いに自らハマった。これ、冷静に考えるとわりと滑稽だ。24進数があったり、60進数があったり、暦に至っては365進数でおまけに余りが出る(うるう年ってやつ)。数字のルールだけ見れば超絶カオス。だけど、結局それが人間の感性ってやつ。丸い文字盤に12って数字があると安心する、そんな根拠のない感覚に支配されて生きてるのが人類なのだ。
道路の直角交差点、四角い部屋、直線的な道、全部「効率」で作られたもの。でも、急角度の道は曲がりにくく事故も多いし、四角い部屋は音の響きや空調の効率はイマイチだったりする。効率のために選んだはずが、気づけば不便を抱えてる。スマホの自動回転は、まさにその象徴みたいな存在。
しかし、忘れちゃいけないのは、「効率」というのはその時代の技術や科学の都合で生まれた価値基準だった。過去の“効率”は、現在の技術なら覆せるものも多い。昔は直線や四角が加工しやすかっただけだけど。でも今は3DプリンターもAI設計もある。だからこそ、今一度、現代の視点で効率を見直してみるのも悪くない。スマホの画面が勝手に回転したとき、それをきっかけにそんなことを考えてみた。
Comments